読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

フランダースの犬

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 アン・ヴァン・ディーンデレン、ディディエ・ヴォルカート編著(2015) 

『誰がネロとパトラッシュを殺すのかー日本人が知らないフランダースの犬ー』

(塩﨑香織訳)岩波書店、を読んでいる。

 

 『フランダースの犬』は幼い頃にテレビアニメを観ていたのでストーリーは知っているが、本国ベルギーでは人々に受け入れられていないこと、アメリカではハッピーエンドに書き換えられていること、日本では1908年に最初に翻訳されたものの、時代によってはネロが死なないバージョンに変えられていることもあったということ、でもなぜか日本では悲しいストーリーが愛されているということ、などなど、まだ半分だけれど興味深い。

 

 そして、私は勝手に、『フランダースの犬』はベルギーの人権派の男性作家が、貧困や不平等への怒りに燃えて書いた作品なんだろうな、とイメージしていたのだが、イギリスの女性の流行作家が書いた話だったということに結構驚いた。また、ウィーダ(作家)が架空の地名を当てたり、フランダース地方の気候ではありえないこと(なんと、雪はほとんど降らないらしい)を書いたりしたことによって、映画化の際に混乱や解釈違いが生じ、かなり映像ではオランダ風のものが取り入れられてしまっているとのこと。お話を書くこととメディア化されること、そのイメージについて、考えさせられる。

 

 写真は、北海道の友人が送ってくれたとうもろこし。衝撃的に甘かった! ありがとう。