読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

 

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 『天上の花』や『蕁麻の家』を読み終えたので、萩原葉子の息子、萩原朔美が葉子について書いた本や共著を読んでいる。好きな作家の子も物を書く人である時ほど嬉しいことはない。もし、すべての著作を読み終わっても、”子どもから見た親”という視点で

答え合わせの余地がある。また、親から見た子をどう書くかはかなり難しいはずだが、美意識が浮き彫りになるので見逃せない。

 

 朔美の葉子に対する目は愛情と尊敬がベースにあるけれど辛辣で、笑える。そこを絶対に葉子が見逃さずすくい取って小説に入れるんだけれど、その行為からして、葉子は自分に対しても批判性を持った人なんだなということがわかる。

 

 朔美は、幼少期に葉子を捨てた祖母については(行為はひどいにせよ)人間として理解していて、かばうような書き方もしている。また、葉子が祖母を引き取って暮らしていた時、ポストカードを通じて文章で交流していたことも書いており、小説で感じるほど一方的な関係ではなかったんだな、というのが救いだ。

 

 そして朔美の伴侶は葉子と正反対の人なのがセリフ一つでわかるのもすごい。

 

 見ることが大事。目があることがすべて。