読むのも書くのも暇な人

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今ならわかる

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 昼時に入ったお店で、若い女性二人組の隣の席になった。

 お一人がマッチングアプリで出会った男性とのデートの顛末を興奮気味に語っていて、耳に入ってきてしまった。盗み聞きしてごめんなさい。

 曰く、その男性と遠出したが、行ったお店の文句ばっかりだった。しかも、突然爬虫類ショップに連れて行かれてありえないと思った。他にもいろいろと興ざめなことがあり、ラインのメッセージも返していない。その女性はかなりご立腹だったものの、「こんな風にネタにしないとやってられないよね〜」と笑い話として振り返っていた。

 私はもう、割って入って、「それ、その男性は楽しかったって絶対思ってますよ! だから、急にラインで素っ気なくされて『え、なんで?』って思ってますよ! てか、多分その男性には、世の中には爬虫類が本当に嫌いなのにいやいや付き合ってくれる人がいる、と想像する機能が付いてないから、嫌なら嫌ってはっきり言ってあげたほうがむしろ親切ですよ!!!」とその方の両肩をつかんで前後にブンブン揺らしたい気持ちを抑えることに精一杯だった。我慢できてよかった。あと5歳若かったら堪えられなかった。

 20代の頃は、私もこんなふうに「初デートなのに気を使えない男最低」と切り捨てていたと思う。いや、きっともっとひどい呪詛の言葉を吐いていた。でも、たくさん失敗を重ね、たまたま男の子を育てている今ならわかる。その彼、リラックスして目に入ったものの感想、そのまま言ってたんだろうな。偶然大好きな爬虫類見れたの嬉しくて、彼女にも断られなかったから「おっ、趣味合うなラッキー」くらいに思ってたんだろうな。友達は少なそうだけれど、学歴はあって、収入もしっかりしてて、でも男ばっかりの環境で女の子と遊ぶのに慣れてないんだろうな〜。

 人間は一人ひとり性格が違うから一概には決して言えないのだけれど、この社会で両方の性別の子供を育てていると感じる、求められがちな無言の「型」とか「圧」みたいなものは確かにある。それは「男の子は細かいことを気にせず伸び伸びと」「周りに気をつかって我慢したり譲ったりする女の子は素敵」とかそんな感じのこと。

 それをそのまま演じてしまうと、どんどん溝が大きくなってしまう。だから、いつも気を使っちゃったり我慢しちゃう人ほど、プライベートは大胆に。周りに甘やかされちゃってるなという人ほど、相手の気持ちを考えたりするほうがちょうどいいのかもしれない。自分を客観視することが一番難しいんだけどね。

 写真は散歩中に見つけたコムラサキ