読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

ご先祖さまのお仕事

 4が「また視力が下がった」としょんぼりしている。

 作ったばかりのメガネを買い替えてやらなければと思いつつ、「わたしも5ちゃん(4の父)も、4人のおじいちゃんおばあちゃんも、わたしの妹も、5ちゃんの弟も、みーんなメガネだよ。わたしのお母さんのきょうだいも、やっぱり全員メガネだよ」といつものように答える。

 かわいそうだけれど、視力が低いのは完全な遺伝だ。どうすることもできない。親族のメガネメンバーを一人ひとりあげていくくらいしかできない。そうすると4は安心するみたいだ。

 

 幼い頃、わたしの視力が下がるたび、母は本を読むのを禁止した。そうすると暗闇で隠れて読むしかなく、さらに視力を下げてしまった。母は一生で一冊も本を読み通したことのない人だったから、本を読んではいけないという苦痛が想像できないんだなと思って禁じられることよりもそっちの方が悲しかったな、とふと思う。

 

 4は「おじいちゃんたちのお父さんお母さんも目が悪かったかな?」と聞いてきた。

「そうだね、みんな悪かったと思うし、4ちゃんみたいに本を読むのが好きな人ばっかりだと思うよ。だってわたしも5ちゃんも本が好きだし」すると4は「ご先祖さまも本を読む仕事をしてたかな」と言う。

 

 いや、多分どっちもずーっと農家だな〜と思いつつ、農閑期には本を読んでいた人もいたのかなと思う。どっちもものすごい田舎だから、どうやって本を手に入れてたのかな。知りたいけど、実家の歴史を知りたいなんて言ったら母がまた調子に乗っておかしくなってしまうから避けたいけど、みんなが死んだら調べたいな。