読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

鬼の首を増やさない生き方

これからの人生、天敵や鬼を引き寄せないよう、遠くにいる友人と作戦会議をした。

友人が「鬼と二人きりにならないようにする」と言っていて、確かに、と思う。

友人も鬼にピンポイントで狙われやすいので、苦労が多い。

「これからは、変だな、と思ったらすぐにラインしてお互い相談しようね」と誓いあう。

 

とても楽しみにしていた素晴らしいイベントに参加できて胸がいっぱい。

大好きなものと、大好きな友だちがいれば、

鬼の首はもう増えない。

鬼と友だちを混同しないよう気をつける。

 

天敵の数は勲章の数

ここ一年くらい抱えていた人間関係の悩みを思い切って友達に話す。

話しながら、「ああ、これもやっぱりいつものパターンだ」と気づく。

なぜこうも毎回毎回飽きもせずに同じことをくりかえしているのか。

我ながらすごいな、と呆れを通り越して笑えてくる。

パターンというのはこうだ。

 

自分の母のようなタイプ(とは最初は気づかず)と知り合いになり、

楽しいなと思うが同時に違和感も覚える。

そのうち、相手が境界線を超えてくるようになり、

過去、母にされた嫌なことをたくさん仕掛けてくる。

例えば、空いている時間を定期的に押さえられたり、

求めてないのにアドバイスをしてきて実行しないと不機嫌になったり、

聞いてほしくないと明言している話題を掘ってきたり、

家族や他の友達との時間に入り込んで来たりする。

いやだなと思って、表現しているつもりでも、

相手は相思相愛だと勘違いしている。

私は相手の言動から、昔母にされたいやなことがフラッシュバックして、

もっともっと嫌いになる。

ある日、コップの水があふれてどうにもこうにもダメになり、相手から離れる。

 

こういうことは本当に疲れるからもうやめよう、と思って

過去の例を検証しているうちに、共通的に気づいた。

”天敵”母タイプの人を引き寄せるのは、決まって新しい環境に入った時なのだ。

 

新しいことを始めたとき、初めて子どもを産んだ後、結婚や引っ越しで環境ががらりと変わったとき、よるべない気持ちの時に、どうやら母タイプにすがってしまって

「この人なら助けてくれる!」と勘違いしてしまうようなのだ。

 

そう思うと、今までは「苦手な人に時間を割いてしまって、時間の無駄だった」と落ち込んでいたけれど、天敵の数は勲章の数なのかもしれないと思えた。こんなに怖がりで、いつもびくびくしている私だけど、たくさん新しい環境に飛び込んで、そのたびに頼りになりそうな人(結果的には天敵だけど笑)を見つけて、でもやっぱりいらないと離れて、それって勲章だよねと思う。

 

これからも新しい環境に入ることはあると思うけど、次はまず安易に母タイプに近づかず、自分で工夫してみようと思う。そこから、本当に困ったら、支配しないタイプに助けてもらえばよいし、古くからの友達に話してみればいいのだ。

私は自分に自信がなくて、「こんな自分に優しくしてくれるなんてなんていい人なんだろう」と盛大に勘違いすることが多いのだけれど、そう思うのを少し緩めてみようと思う。

 

 

アリ・スミスの『秋』を読んだ。

www.shinchosha.co.jp

アリ・スミスの本はいつも最初は「?」となるのだけれど、

じりじりじわじわ引き込まれていく。

この本も、とても変わった恋の話だ。

主人公の女性は、とてもとても歳の離れた元隣人で今寝たきりの老人を

心のうちでずっと愛している。

年齢とか性別とか立場とかすべて関係なく、

その人の目(”物の見方”という意味かな)がすごく好きで、それを超える愛が見つからない(見つけようもない)という気持ちは、私にもよくわかる。目を見せてくれた人のことは、たった一瞬、たった一言のつきあいだとしても一生忘れられない。

 

黄色い壁紙

病短編小説集を読んでいる。

www.heibonsha.co.jp

まだ途中なんだけど、シャーロット・パーキンス・ギルマンの『黄色い壁紙』の迫力がすごい。1892年出版の、産後うつになった女性がおかしくなっていく話なんだけど、わたしには夫や周りの家族がおかしいように思える。女を閉じ込めると後が大変です。

募金

能登半島地震、被害の大きさに毎日驚き、胸が痛い。

お正月からこんなにつらいことが起きるなんて。

すぐに力になれればと思い、

すでに被災地に入っているボランティア団体に

家族4人で募金する。

一人でも早く、多くの人が助かりますように。

 

ngo-kyodo.org

 

www.nikkei.com

 

 

混ぜない

ある人がわたしのことを思いやってくれていたことを人づてに聞く。

本当の気持ちを押し隠すと、よく気づくやさしい人を心配させてしまうんだよな。

正直に生きることは誠実に生きることなんだと思う。

 

今年の目標は問題を混ぜないこと。

好きなことに嫌いなことを混ぜない。

嫌いなものを好きなものに混ぜて無理やり好きになろうとするのをやめる。

好きなものをわざわざ嫌いなものに差し出すこともやめる。

嫌いなものは嫌いなままでいる。

好きなものは命がけで守る。

残酷な神が支配する

shogakukan-comic.jp

残酷な神が支配する』(萩尾望都)やっと読めた。

作中、クリスマスから年明けにかけて重要な事件が起きるので、

年末年始に読むのにふさわしかった。

あまりにも苦しく、切ない物語で、

若い頃に手にとったとしても受け入れられなかったと思う。

読み終わってから、

「ジェルミがこの厄災から逃れるチャンスはなかったか」と思って

もう一度頭から読んでみたけれど、

サンドラの息子である以上、万が一グレッグと出会わなくても

似たようなことが起きてしまうのだろう。

『血の轍』(押見修造)の母もそうだけれど、このタイプの親は、

絶対に子を幸せにしてはならない、

どんな手を使ってでも自分の「愛する」以外の愛に触れさせないと

本能レベルでプログラムされているので、

そこから出ようとする子に全身全霊で呪いをかけるからだ。

 

すばらしいフィクションというのは、一度読む人を

疑似的に呪いにかけてしまって閉じ込めるんだけど、

必ず最後に解放する仕掛けを準備してあって、そこを通り抜けることで

前と違った何かをもたらしてくれる。

それはドキュメンタリーやノンフィクションには到底かなわない。

以前は事実のほうが強くて、価値があると思っていたけれど、

全然種類が違うんだ、すごいことなんだなと思う。