読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

土曜版偏愛

 前回は夕刊の読み方をご紹介したので、今回は朝刊の中で一番好きな土曜版について書きたいと思う。土曜日の午前中にゆっくり読書欄をチェックして、次に買う本の目星をつけるのが週末のお楽しみだ。

 

 まず、別刷りの「NIKKEIプラス1」から広げて「なやみのとびら」をチェック。読者からの悩み相談に、お笑い芸人、俳優、脚本家、作家らが週替わりで答える。1000文字くらい。大石静氏の時は辛口で痛快。山田ルイ13世氏の時は大抵引きこもりや一発屋体験が出てくるんだけど、毎回違う切り口で励ましていて芸があるなあと感心する。石田衣良氏が引きこもりの息子を憂う母への回答をした回は、心に残ったのでメモしてある。

 

 そしてメインの本紙。まず、文化欄を読む。ここの文化では、多分日替わりでいろいろな人がエッセイを書いている。2000字あるので読み応えしっかり。ここで面白かったものはなんとなく覚えておいて、その年の「ベスト・エッセイ」(光村図書)を読む。すると、印象深かったものが結構収録されていて、答え合わせ気分を味わえて楽しい。木皿泉氏の「お菓子の家」は個人的にすごく響いたエッセイだった。電子版でも読めるのでおすすめ。

 

 そして、お待ちかねの読書欄! 7月3日のでは、最近読んだ佐久間文子著『ツボちゃんの話』、平野啓一郎著『本心』が書評されている。自分の感想と比べながら読む。ベル・ボグス著『子供を迎えるまでの物語』(サウザンブックス社)が気になる。

 

 読書欄のクライマックスは、実は「半歩遅れの読書術」というコラムだ。こちらは、作家、学者、ジャーナリストの人が、1000文字程度で自分と本との関わりを書いているんだけど、毎回人選がすごい。読書の手練という感じ。今は作家の町田康氏が担当。今回は二冊の漂流記について書いていて、どっちも読みたくなる。切れ味鋭い。

 

 次のページの教養詩歌欄では、ノンフィクション作家の梯久美子氏が「この父ありて」という連載をしていてこれもまた楽しみ。1800文字くらい。今までに渡辺和子、島尾ミホ石垣りん、といった女性たちを取り上げて、その父との関係性からあまり知られていなかったことに光を当てている。島尾ミホの回は、以前『狂うひと』でテーマとされていたのでもう書くことないのでは、と思っていたが、まだ新しい観点を提示されていて驚いた。石垣りんにも興味が湧いたし、7月3日からは私の好きな茨木のり子!ちょうど、金智英著『隣の国のことばですもの 茨木のり子と韓国』(筑摩書房)を読んだところだったので、偶然で嬉しい。次は向田邦子とりあげないかな〜。きっと、単行本かされると思うので、楽しみに待ちたい。

 

 読書というのは孤独な趣味で、生活圏内で同じ嗜好の人に巡りあうことはとてもとても難しいのだけれど、新聞を開くと同好の士や名人と呼びたくなる人がいるので寂しくない。