読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

本の虫の夕刊案内

 昨日お知らせした通り、わたしが100%自分だけに向けて、日々の読書を盛り上げるために新聞をどう読んでいるかをご紹介したいと思う。例は7月1日(木)の日経新聞夕刊。

 

 まず、おしりの12面をチェック。木曜日は著名人や文化人が1月交代で「読書日記」を書いている。最近は、文化史学者、詩人、俳優ですてきな人が続いた。その人が毎週一冊の本を紹介していくのだが、500字くらいの短いコラムなので読みやすくてお気に入り。

 

 今回は、お笑い芸人のビビる大木氏が馳星周『夜光虫』の感想を書いている。まず、冒頭の100字程度で、どうしてその本を手にとったかを説明している。そして、次の150文字で、どんな内容かをかいつまんで紹介。その次の200文字では、自分はどう思ったか、どこにドキドキハラハラしたか、何がよかったかが大木氏の言葉で書いてある。最後の50文字では、この季節にピッタリのオチをきちんとつけていて、さすがである。

 

 前のブログで、カズオ・イシグロの思考実験について書いたけど、大木氏もまんまと?馳星周作品の思考実験に乗せられたんだな、と察せられる。というのも、読みながら「何度も自問自答した」と書いていて、本当に力のある作品とはそういうことなんだな、と納得。

 

 次は同じ紙面の右上、「目利きが選ぶ3冊」。3人の批評家や評論家が毎週3冊ずつ自分の分野の良書を紹介している。一冊につき文字数は90〜280文字と少ないが、ここで面白いとだいたい面白いのでチェックしている。今回は、経営学者の中沢考夫氏が推した西岡文彦『ビジネス戦略から読む美術史』(新潮新書)が気になった。プロテスタントの登場で、キリスト教会の壁画や天井画がお持ち帰りのできる「商品」に変貌した、という興味深い視点。買って読まねば。

 

 10面のプロムナードはエッセイの担当陣が今月から変わって寂しい。足立紳監督のエッセイが楽しくてホロリとさせられて好きだった。ここのエッセイは曜日ごとに人が変わる。1400文字程度で読み応えがある。人によって、ずーっと同じテーマで書き続けるタイプもあれば、いろんな手を繰り出してくる人もいて、比べて読むのも楽しい。

 

 おっと11面のニュースも一応確認。三浦綾子の小説『塩狩峠』ゆかりの駅として知られる北海道の駅を維持するために町が寄付を募ったところ、全国から2年分の維持費が集まったそうだ。駅の維持にかかるお金は1年で約270万円。ホームの除雪費用や駅舎の維持管理費としてそれくらいかかるという。ものを残すということは大変なことである。

 

 最後は1面の「あすへの話題」で〆。これも曜日ごとに書き手が変わって、分量も1000文字ないくらいなのでさらっと読めるけれど不思議に心に残るものが多い。今月から火曜日は作家の山田詠美氏。小学生の頃から愛読しているエイミー。相変わらず写真もかっこいい。火曜日の楽しみが増えた。

 

 そんな感じで夕刊を読んでいる。スポーツファンは政治好き、経済好きは、どんな風に読むのかな。一度聞いてみたいものである。