読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

水晶と陶器のあいだ

 去年だったか、食事をしていてふと「タイトルも画家の名前も思い出せないんだけど、すごく好きな絵がある」と、5に話したことがある。5は私の話を聞きながらひょいひょいとスマホをいじって、「これでしょ」と画面に表示させた。エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」。

 

 ホッパーの絵では「日曜の早朝」にも心を捕らえられた。明るいのに不穏。見るといつも映画『ブルー・バレンタイン』の結婚式の朝のシーンを思い出してしまう。

 

 お互い虫のいどころの悪い朝、険悪なやり取りの後に手にした朝刊で、「ナイトホークス」が紹介されていた。思わず「ホッパーの家の近くの店がモデルらしいんだけど、特定できてないんだって」「シカゴにある絵なんだね」と話す。

 

 5は洗濯物を畳んでいた手を止めて、「けっこう大きいんだよ」と胸の前でめいっぱい両手を広げてみせる。

 

 シカゴに観に行ける日は来るのだろうか。行ったら行ったで、私は「図録で観るのが一番いい」と悪態をつくのだろうか。先のことはわからない。

 

 もうすぐ、結婚記念日がやってくる。今年は何婚式なんだろうと調べてみたら、15周年以降は5年おきになるらしく、水晶婚式と陶器婚式のはざまとしか言えない時期だった。陶器婚式は9年目にもあって、なんだこの辺りは、割れやすいセンシティブな時期なんだろうかと勘ぐってみたり。

 

 まあ、割れてもくっつけたり、花壇に刺したり(花壇ないけど)、ほっぽって絵などを眺めてみたり、、、そんな感じで過ごせたらな、と思う。