読むのも書くのも暇な人

考えていることや読んだものについて書いていきます。

中止にする権限

 日経新聞に、読者や有識者の意見を紹介する私見宅見というコーナーがある。

6月9日のこちらで、立教大学名誉教授(民法)の角紀代恵氏が「五輪中止、日本に義務なし」という原稿を寄せている。

 

「『五輪を中止にする権限は日本にはなく、国際オリンピック委員会IOC)だけが持つ』という言説が多い。」が、「開催都市契約2020」の内容や、契約法の立場からすれば、「コロナ禍は日本の責めに帰すべき自由とは考えがたい」ため、「仮に中止を(日本が)判断しても日本が賠償義務を負うことはないと考えるのが妥当だろう」と角氏は結論づけている。

 

 ここに至る根拠の中で、「契約を守らない相手に契約内容の実現を強制できるのは国家(裁判所)だけである。民間団体であるIOCには、そのような執行力はない。くわえて当事者がその気にならなければ実現できない契約は、その実現を強制できないとされる。」と書かれていて、ふぉー、と思う。

 

 だいぶスケールの小さい話にはなるが、五輪に限らずとも、日常生活の中で、相手の方が強かったり、知識がありそうだったりで、なんとなく意見を言い出せないまま、自分に不利な状態で話が進むということはよくある。もしかしたら、応用はできないかもしれないけれど、心の片隅で覚えておきたいなと思った。まあ、今後私が何か大きなイベントを企画して中止する、なんてことはめったにないと思うけど。

 

 この角先生、どんな方なんだろうと思って検索したら、学生さんが運営していると思われるbotTwitterで発見した。先生の講義中の発言がつぶやかれているんだけど笑える。「さあ〜登記をするぞ〜!」とか「私電車の中で寝れない」とか。こんなすてきな先生の講義を受けられる大学生、うらやましいな。