能率って
実家にいるころは、何か食べているか寝ているか読んでいるかしかしていなかったので、母によく「生産性の高いことをしなさい!」と怒鳴られていた。
だから、生身の人間に対して「生産性がある/ない」という発言を聞くと
胸がしくしく痛んでしょうがない。
母が私に対して特別厳しかったせいもあるが、いろいろなものを
読んでいくうちに、この「人に対する厳しさ」というのは日本社会特有のものなんじゃないかな、と思うに至った。
この前の土曜の日経の読書欄で、教育社会学者の本田由紀氏がご自身の研究を振り返り、「考え続けているのは、長い時間の中で形成されてきたこの社会の独特さ」と書いておられて「おぉ」と声が漏れた。やっぱり、私が考えているくらいだから、絶対学者の人は研究しているんである。
こうした関心から本田氏が手に取ったのが『「能率」の共同体』(新倉貴仁著、岩波書店)で、1920年代の日本で起きた「能率」ブーム(と言っていいのかわからないけど)から敗戦後の復興下で起きた「生産性向上」の掛け声、とこの私が感じた「人に対する厳しさ」の歴史が、時系列的に描かれているようだ。難しいみたいだけど、買わなければ。
買ったけど読んでない本も、買ってないけど読みたい本も増えるばかり。能率悪いぞ万歳!