近所の古本屋さんに久しぶりに行く。ルシア・ベルリンの『すべての月、すべての年』を購入。
エルパソが近づいて、列車は速度を落とした。
という一文から始まるのだけれど、最近『ブレイキング・バッド』を観なおしたところだったので、「エルパソ・・・ハンクが転勤を命じられたDEAの出世コース・・・
」と胸が熱くなる。
私は雪国で生まれ、南国の人と結婚してしまい、今は夏の湿度が殺人級の東京に住んでいる。いつも全身が、人生がねっとりとぬるい水滴で覆われているような気持ちがあるのだけれど、そのせいか半乾燥地帯に住むことに憧れがある。ニューメキシコって、テキサスって、カラカラしてるのかな。
ルシア・ベルリンの文章はドライな感じがよい。読むと洗い立ての麻の服を着た気持ちになる。
日本列島がぶるぶる震える事件が起こり、気持ちが落ち着かない。ちょうど大きな公園に行く用事があり、4につきあってもらう。地面に座ってぼんやりビールを飲んだ。森っていいな。
家の近所に、私のふるさと秋田の食べ物がたくさんある店を発見。これはババヘラアイス。婆がヘラですくって作るからババヘラ。秋田では夏になると街道沿いにポツポツと、売り子のおばあさんとアイスの樽一式が置かれる。欲しい人は車を止めて購入する。アイスなんだけれど、「ババヘラの味」としか言いようのない味で、市販品で似ているものは皆無。子どもたちの間では「じゃがいもの皮が入っているらしい」という噂があった。お店の方も、秋田出身の女性。完璧な秋田イントネーションを久しぶりに聞いて、育ての母のことを思い出して懐かしくなった。秋田弁のマダムが喋ると、そこらじゅうにお花がフワンフワンと飛んでいくような張りというか華やかさがある。
すごく苦手な子どもの行事が終了してホッとする。私は真面目すぎるし、自他に厳しすぎるし、求めすぎなんだとしみじみ思う。そんな自分をまた責めたい気持ちも少しはあるけど、そうしなければやり過ごせないくらい自分にとって大変な環境を生きてきたし、そもそも不器用なのだからしかたない。
ずっとやりたかったことに挑戦。41歳にしてダンスを始めてみた。楽しい。他のどんな人も、自分のことを幸せにはしてくれない。自分で自分の機嫌をとって、幸せにしていくしかない。