読むのも書くのも暇な人

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ジェルメール・ティヨン

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 藤原書店の『女の歴史V 二十世紀1』を読み終えた。

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 ヴィシー政権下で、「人類学博物館」のレジスタンス組織に加わり、摘発されてラーヴェンスブリュックの女子強制収容所に送られた民俗学者のジェルメール・ティリヨンという女性がいたことを知った。収容所での地獄を生き延び、母国フランスのおこなう植民地戦争への抵抗を続けた。

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インターネットで検索すると、「ジェルメール・ティヨン」表記の方が出やすいのでこちらで。

 

心に残ったティヨンの言葉。P364、平野千果子訳。

 どのようにして、人々はそれぞれ、以前のような生活を続けられるというのか? ただ生き続けるということすら、どうしたらできるのだろうか? しかも他の人たち以上に、わたしたちは。私たちがズレを感じているのは、たぶんそのことなのだ。おそらく、価値基準もすっかり変わってしまったのだ。

 一九三九年から一九四五年までのあいだ、わたし自身が、他の多くの人たちと同じように、違いをみきわめて区別したいという誘惑に負けたからだ。つまり、「かれらは」こういうことをしたが、「わたしたちは」そんなことをしないだろう、というふうに。今日、もはやわたしは、そのようには考えない。反対に、わたしは別の確信をもっている。集団として精神の荒廃に見舞われることなくいられる民族など、ひとつとして存在しないのだと。

彼女のことを、知ることができてよかった。

 

追記:ティヨンは2008年4月に、101歳の誕生日を目前に亡くなっている。彼女の本を読んでみようと思う。

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