とっても落ち込むことがあったので、昔読んでスクラップしていた記事をずりずり引きずり出して読む。
2018年6月14日(木)の日経夕刊、当時京都大学の総長だった山極寿一氏が登場した「私のリーダー論」だ。ゴリラ研究の第一人者である山極氏。彼が理想のリーダー像を見いだすのはやっぱりゴリラだと紹介されているんだけど、これが妙に心に残っている。
山極氏曰く、「ゴリラの社会は並列社会」。「ニホンザルをはじめとするサルの社会は、勝ち負けが明白な階層社会」。弱肉強食で、弱いものは強いもの前で餌も食べられない、完璧な縦社会らしい。それに対して「ゴリラの社会は、勝ち負けを決め」ず、「群れの中では体が小さい奴も威張っているし、子どもも負けてはいない」という。
その中でリーダーになるのは、一番体が大きくて成熟しているオス。身体的条件が整っていて、かつ外敵から身を守ってくれる保護者としての「メンバーからの信任」がなければリーダーとして認められないそうだ。
ゴリラの群れが森の中で他のグループと出合ってしまった時は、お互いのリーダーが出てきて牽制しあう。その時に重要なのは「そこで勝ち負けを決めるわけではないということ」だという。「ゴリラのリーダーに求められるのは『負けない心』」で、それは人間社会にも通ずると山極氏は考える。「勝とうとする精神は、相手を屈服させ排除しようとするので、自分はだんだん孤独になっていく。でも負けまいという姿勢は、相手を対等に見るので、友達を失わずに済む。だから仲間ができる」。
自分を振り返ってみて、よくなかった点はもちろんあるけれど、決して「勝とう」とはしなかった。「負けなければいい」という気持ちで踏ん張れたと思う。この記事を切り抜いた3年前の自分だったら、どうだったかな。サルからゴリラに成長できていたら、こんなに嬉しいことはない。